儀式は、日常の動作にもう一つの意味を与える
首輪は装身具にも、役割に入る境目にもなります。一杯の水は飲み物にも、奉仕の行為にもなります。ひざまずくことは、ふたりがそこに何を築いてきたかによって、楽な姿勢、性的に身をさらすこと、敬意、あるいは委ねることになります。
それが儀式の力です。繰り返すことで、なじみの動作が「今、この関係に入っていく」という意味を持つと、神経系が学びます。
本当の感情的・実用的なニーズに応える儀式を選ぶ
ほかのD/sカップルが使っているというだけで、決まりを増やさないでください。その儀式で何をしたいのかを考えましょう。
- 役割へ切り替えるためでしょうか。
- 服従する側が落ち着き、判断を手放せるようにするためでしょうか。
- 応じられる状態だと、支配する側にはっきり伝えるためでしょうか。
- 一日の間に期待を育てるためでしょうか。
- 奉仕を見えるものにし、感謝を伝えるためでしょうか。
- 仕事、衝突、距離のあとで、再びつながるためでしょうか。
役に立つ儀式には目的があります。その目的が、ただ官能的な美しさであってもかまいません。
繰り返せる三つの行動から始める
関係を始めたばかりのふたりは、決まりの体系を丸ごと作り、あとで、それでは暮らせないと気づくことがあります。まずは少数から始めましょう。挨拶、一つの姿勢、就寝前の儀式などです。自然に感じられるまで練習してから、増やしてください。
訓練は、一貫性によって機能します。支配する側が都合のよいときだけ思い出す二十のルールより、毎回同じ意味で使われる一つの命令のほうが、服従する側は早く学べます。
呼び方は道具であって、本物であることの証明ではない
Sir、Mistress、Ma’am、Master、Owner、Daddyなどの呼び方は、関係の空気を一瞬で変えることがあります。ふたりの中で、実際に何かが動く呼び方を使ってください。
人前ではどうするかも決めましょう。ふたりだけに意味のある敬称や普通の愛称なら、関係が消えてしまったと服従する側に感じさせず、慎みを保てるかもしれません。
奉仕は、うまくできるほど具体的にする
「もっとよく仕えなさい」は曖昧です。「私が帰ったらコートを受け取り、水を持ってきて、動くよう言うまで足元に座っていなさい」なら、練習できます。
奉仕は、性的、家事的、美的、段取りに関するものなど、さまざまです。風呂を用意する、玩具を洗う、服をそろえる、コーヒーを入れる、口で快感を与える、寝室を整える、足をマッサージする、日誌をつける、あるいはただ静かに、応じられる状態で待つこと。
奉仕を、見えない無償労働への不満と混同しない
同意のあるD/sの関係では、家事による奉仕も深く官能的になり得ます。でも、普段の家事はやはり時間とエネルギーを使います。一方がすべてを背負い、支配する側がその労働を、選ばれた関係ではなく当然の権利として扱えば、官能的な奉仕は、ごく普通の不満に変わってしまいます。
その取り決めが今も選ばれているか、続けられるか、感謝されているかを見直してください。
繰り返したいなら、始まりの儀式は空想より簡単にする
首輪、ひざまずくこと、ひと言、目を合わせる瞬間。それだけでシーンは始められます。十分かもしれません。長い儀式は、訓練を始める日、正式に首輪を交わす日、記念日などの節目には力を持ちますが、日々の決まりは現実の生活に合うものであるべきです。
修正は、共有された仕組みの中で行う
大切な決まりなら、忘れたときにどうするかを定めておきましょう。新しい行動なら、思い出させるだけで十分かもしれません。注意を払わないことが繰り返されるなら、ふたりがすでに合意した対応が妥当なこともあります。
不完全なしぐさを、すべて罰に変えないでください。訓練に必要なのは、繰り返すことです。失敗させ続けることではありません。
称賛も、決まりの一部
服従する側は、支配する側の好みに気づこうと、しばしば熱心に取り組みます。認めることは、その行動を育て、奉仕が届いたと伝えます。「いい子だね」「まさにそうしてほしかった」、触れること、もっと近くに座る許可、その人にとって意味のある別の褒美。どれも強い力を持ち得ます。
間違いにしか気づかない支配者が、やがて育てるのは、卓越した奉仕ではなく不安です。
儀式にケアを込めても、支配する力は弱まらない
薬を用意する、食事を思い出してもらう、長くひざまずいたあとに姿勢を確認する、回復の時間を与える。どれも権限を委ねる関係の中に置けます。ケアと権限は反対ではありません。
「水分を取ってほしいから、これを飲みなさい」と支配する側が言えば、服従する側は、同じ行為をケアと命令の両方として感じるかもしれません。
現実の事情を優先する余地を作る
病気、けが、子ども、仕事、旅行、緊急事態によって、決まりを実行できなくなることがあります。それを不服従にするのではなく、普段の期待を一時停止する言葉やルールを作っておきましょう。
しっかりした枠組みは、現実が必要とするときにはしなります。
ふたりで話してみる
繰り返すどんな行動が、すぐにこの関係を感じさせてくれますか。どんな奉仕が、支配する側の生活や快感を本当によくしますか。空想では美しくても、日常ではわずらわしいルールは何でしょう。間違いはどう修正しますか。よい奉仕をどう認めますか。そして、感情的な重みを保つために、特別なときだけにしておきたい儀式は何でしょう。